体内の水分分布
細胞内液:組織間液:血漿 = 8:3:1。組織間液と血漿の間は自由に行き来ができる
- 細胞外液は組織間液と血漿に行きわたる (血管内に 1/4 残る)
- 5% ブドウ糖液は上記のすべてに均等に分布 (血管内に 1/12 残る)
- アルブミン製剤は血管内にすべて残る
各種輸液製剤の組成
Na | Cl | K | 酢/乳 | 糖 (g/dL) | 備考 | |
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生理食塩水 | 154 | 154 | 0.9%。NaCl 1g = 17mEq | |||
酢酸リンゲル (ソルアセト F) | 131 | 109 | 4 | 2.8 | 酢酸から - が出るので、Cl は生食より少なめ。Ca も入っているので注意 | |
5 % ブドウ糖液 | 5 | |||||
1 号液 (ソルデム 1) | 90 | 70 | 2.5 | 生食と 5%Glu を 1:1 で混ぜたもの (電解質は生食の半分になっている) | ||
3 号液 (ソルデム 3) | 35 | 35 | 20 | 20 | 4.3 | 生食と 5%Glu を 1:3 で混ぜたもの (生食の 1/4) + K |
ビーフリード | 35 | 35 | 20 | 20 | 7.5 | 3号液 + アミノ酸 + VitB1 |
ケース別の輸液
救急患者: 外液 80mL/h
- ショックの時はカリウムフリーで!
- 大量投与するときはリンゲルの方がよいといわれている (高 Cl からの尿量減少のおそれあり)
- 小児のときは異なるので注意。
腎不全患者: 1 号液 40mL/h
特に GFR 15 未満では注意。
食事が摂れない場合: 3 号液 80mL/h
- 一日に必要なのは水 2000mL, Na 80mEq → 5g, K 40mEq, ブドウ糖 100g
- 非常に雑だが、普通の人はソル 3 を 2L、脱水があればそれ以上、小柄な高齢者では 1.5L くらいな感じでよい。
水分必要量の計算
- 水分必要量 = 尿量 + 700 (+ 発汗・その他水分喪失) で計算できる。
- 尿量は 400mL 以下で乏尿、100mL 以下で無尿。普通の人は 1300mL くらい。
- NG チューブ、胆道ドレナージ、イレウス管が挿入されている場合や発熱が持続している場合は体液の一日量と電解質組成を上の式の「その他水分喪失」に代入して計算する必要がある。
高 Na 血症: 5% ブドウ糖液 80mL/h
Na の入っていないものを選びたいという気持ち。血管内にはあんまり入ってくれないが……
参考文献
- レジデントのためのこれだけ輸液, 佐藤弘明, 日本医事新報社, 2020
- 内科レジデントの鉄則 第 3 版, 聖路加国際病院内科チーフレジデント, 医学書院, 2018