鑑別の手順
実装は こちら
- Step1: アシデミア or アルカレミア?
- Step2: 呼吸性 or 代謝性?
- Step3: 代償は適切か
- 代償の式はかなりややこしい
- 代謝性の場合は PaCO2 = HCO3- + 15 となっているかどうかで代償が適切か判断できる?
- Step4: AG と補正 HCO3- を計算
- AG が開大していれば AG 開大性代謝性アシドーシスがあることは確定
- pH が正常範囲内でも、補正 HCO3- (HCO3- + 14 - AG) > 26 なら代謝性アルカローシスが隠れている
- Step5: 鑑別を考える
鑑別疾患
代謝性アシドーシス
AG 非開大性 (高 Cl 性)
HARD-UP のゴロ合わせで覚える。現実的に最も考えやすいのは下痢と尿酸性化障害 (RTA, 腎不全初期)。
- Hyperalimentation (過栄養)
- Acetazoramide (アセタゾラミド): 利尿薬は低 K かつアルカローシスをきたすが、アセタゾラミドは例外。人工的に RTA II 型を起こしているようなもの。
- Addison’s disease (アジソン病)
- Renal tubular acidosis (尿細管性アシドーシス): 例外的に低 K かつアシドーシス
- Diarrhea (下痢): 例外的に低 K かつアシドーシス
- Ureteroenteric fistula (尿腸管瘻)
- Pancreatic fistula (膵液瘻)、parenteral saline (NaCl 大量補液)
AG 開大性
KUSSMAL-P のゴロ合わせで覚える。
- Ketoasidosis (ケトアシドーシス)
- Uremia (尿毒症、腎不全)
- Salicylic acid (サリチル酸)
- Sepsis
- Methanol
- Alcoholic, Aspirin intoxication (アルコール中毒、アスピリン中毒)
- Lactic acidosis (乳酸アシドーシス。臓器虚血、けいれん発作後、VitB1 欠乏症に注意)
- Paraldehyde (パラアルデヒド)
代謝性アルカローシス
どこかから Cl が排出されている。では一体どこから?
尿 Cl < 20mEq のとき
嘔吐 (Cl が口から出ている)。生理食塩水で改善。
尿 Cl > 20mEq のとき
ABCD のゴロ合わせで覚える。尿から Cl が出ていってしまっている。
- Aldosterone (アルドステロン症)
- Bartter / Gitelman (低 Mg 血症を合併するよね)
- Cushing
- Depletion of Magnesium
呼吸性アシドーシス
- 急性: 上気道閉塞・喘息発作
- 慢性: COPD, 中心神経抑制、神経筋疾患;
呼吸性アルカローシス
- 急性: 低酸素血症・発熱・敗血症・過換気・薬物
- 慢性: 貧血・妊娠・庵不全・脳血管障害
参考文献
- レジデントのためのこれだけ輸液, 佐藤弘明, 日本医事新報社, 2020
- 水・電解質と酸塩基平衡, 黒川清, 南江堂, 2004